汚染米問題についての要望書
11月28日付「要望書」です
2008年11月28日
内閣総理大臣 麻生 太郎様
農林水産大臣 石破 茂 様
汚染米問題についての要望書
特定非営利活動法人
コンシューマーズ京都(京都消団連)
理事長 原 強
さまざまな食品事故・事件が頻発している昨今の世情に、食べる側の国民・消費者は非常に困惑と不安を抱えた毎日を送っております。とりわけ、日本国民の主食としてお互いに大切にしてきた米に関して、事故米(汚染米)が一般国民の食卓に出回ったということを9月5日のニュースで知らされて以来、不安も、困惑も、日に日に怒りとなって私たちの周りを駆け巡りました。悪質な流通業者は論外として、むしろ米の政策を決定し、その管理を司る農水省の対応に怒りの矛先は向かっていたというべきです。
あれから2ヶ月が過ぎました。当初は他人事のように反応の鈍かった農水省も、省内に「事故米対策本部」を設置して事故米問題の解明がすすめられました。合わせて内閣府にも第三者機関として「事故米穀の不正流通問題に関する有識者会議(以下、有識者会議)」が設置され、議論がすすめられたことは当然の処置といえましょう。その結果、11月8日には、政府広報「政府は事故米を二度と流通させません」が公表・公開されたところです。また、11月25日には有識者会議「調査報告書(第一次取りまとめ)」がまとめられました。
このような事情のもと、これまで当方で議論してきた意見を申し上げ、適切に対処していただきますよう要望します。
1、 情報開示と消費者への説明について
11月8日政府広報「政府は、事故米を、二度と流通させません」を結論とするのでなく、有識者会議「調査報告書(第一次取りまとめ)」をうけて、国民・消費者に対して充分な説明責任を果たしてください。
当法人コンシューマーズ京都では、2008年10月10日(金)10時~12時、近畿農政局に出向き、汚染米問題について懇談の機会を持ちました。懇談に先立って時間の調整及び質問状を1週間前に送付しておりましたが、当日は「農水省では毎週金曜日に農水省のホームページで、必要なことは公表している」とのことで実質的な懇談にはなりませんでした。調査途中のものもあり責任を持って答えられないという気持ちはわかりますが、少なくとも「農林水産省の取り組みに関する工程表」及びその進捗状況ぐらいはペーパーにして説明がなされても良かったのではないかと考えます。連日のマスコミ報道では私たち消費者は断片的にしか情報を得ることができませんので不安は募るばかりです。ホームページで見てくださいだけではあまりにも不親切です。したがって、「農林水産省の取り組みに関する工程表」による取り組みがほぼ終了し、有識者会議「調査報告書(第一次取りまとめ)」が出された今、国民・消費者に対して早急に説明の機会をいくつかの場所を設定して開催してください。
特に以下の汚染米対策については明確な見解を提示してください。
(1)輸入時の検査の強化
(2)汚染米とわかった時点での取り扱い
(3)絶対に市場流通させない仕組み
(4)米取扱業者への指導・規制
2、 被害者に対する補償について
(1)政府広報(11月8日)の中で、「事故米と知らずに加工・販売してしまった善意の事業者の皆さまに支援を行います」と公表されています。
支援をするという情報は9月24日の「事故対策本部の設置」と共に早々と公表されたものですが、国民・消費者が不安と怒りの只中にいる時点での事業者に対する支援策公表には違和感を覚えます。
「有識者会議」でも指摘されているように、補償問題でも「国民・消費者こそがお客様」であるべきなのに「事故米穀の購入者はお客様」という間違った意識が働いているのではないでしょうか。そもそも「善意の事業者」とは何を意味するのでしょうか。かつてBSE問題で、事業者支援をされたとき、輸入品を国産と表示替えをするなどの新たな犯罪を誘発したことは国民・消費者にとって未だ記憶に新しいことです。
さらに、補償対象の条件として「善意の事業者」と共に「国が不正事業者に対する損害賠償請求権を引き継ぎ、求償することを承諾する事業者」とされています。支援がいけないとは思いませんが、事業者の損害賠償請求権を放棄させることは、事業者の自立を妨げることにもなるのではないかと思います。複雑な流通経路のリスクもこれで解決するのかどうか疑問です。充分な検証を行って公正・公平に対処してください。
(2)今回流通した汚染米は、カビ毒を除いては2005年まで国の残留農薬基準がなかったため汚染米として認識されていなかったものです。したがって、これまでに輸入され食品として流通していた米に今回問題となった農薬が残留していたことは充分考えられることです。これらの米は加工食品の原材料として使われてきました。食品安全委員会のリスク評価結果は尊重しますが、長期にわたって食べ続けてきたと思うとやはり不安を覚えます。しかも、今回発覚した汚染米は、京都府でも保育所、社会福祉施設22施設(うち京都市10施設)、学校京都市立中学校47に販売されました。これら施設がこれまでも今回同様のルートで米を購入していたとすれば、体の弱ったお年寄りや小さい子どもたちが知らない間に危険にさらされていたことになります。
こうした国民・消費者への被害補償をすべきです。一案として、こうしたハイリスクの状態におかれた教育機関や福祉施設に対して安心安全な国産米を無料ないし安価で供給する措置をとっていただくことを提案します。
3、 ミニマムアクセス米輸入の凍結と食料自給率向上にむけて
今回の汚染米問題は、米が余っているということで生産者に減反・生産調整を強いている片方で米を輸入し続けてきたという矛盾の中から起こるべくして起こったとしか言いようのない不祥事です。しかも、米が余るのはあたかも国民・消費者が米を食べないのが悪いとばかりの宣伝がなされています。すなわち国民・消費者が食の洋風化を好み、安くて手軽な加工食品に依存するあまりその他の食品を含めて輸入が増え、結果として米の消費が減ったというものです。私たちはこうした見解を全面的に否定するものではありませんが、生産者を守り、国の食料を安定的に守る農水省・政府の取るべき道は、まずは日本の食糧の自立を如何に確保するかということではないでしょうか。さらに、現在の国際的な食糧事情からも考えあわせるとミニマムアクセス米の輸入については当分輸入を見合わせ、日本での生産を推進する施策を掲げるべきです。
日本各地ではすでに自主的に家畜の飼料となる米の生産を休耕田など利用して作る試みも始まっています。生産者にエールをおくり生産現場の知恵を結集するなど、農政を抜本的に見直し、食料自給率を上げる政策を具体的に示してください。
4、 消費者団体等への支援について
政府は、「ごはんを食べましょう」キャンペーンや、ごはん中心の日本型食生活を推進されています。コンシューマーズ京都は、これまでから日本の食文化・地産地消・ごはん中心の日本型食生活をたいせつにしてきましたから、こうした食育活動に賛同し、積極的に協力してきました。また、各地の消費現場では乏しい予算をやりくりしながらの学習会や食育活動を続けています。たとえば大学生協では、若い人たちの食事相談会を開催し啓発に努めてきていますが、京都のある大学生協ではじまった「100円朝ごはんキャンペーン」もそのひとつです。お年寄りや障害者への配食活動・食事相談も各地で盛んです。
健康な食生活を推進し、生産者を励まし、食料自給率の向上をめざして活動している私たち消費者団体に対し、助成制度の充実を図るなど、積極的に支援し、実りある協働の取り組みを進めていただきますよう要望いたします。
以 上
連絡先 特定非営利活動法人コンシューマーズ京都(京都消団連)
〒604-0847京都市中京区烏丸二条下る ヒロセビル5F
Tel 075-251-1001 FAX 075―251-1003
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