コラム烏丸二条発

目線を変えれば

[掲示日:2010.03.30]
お世話になる弁護士から一冊の本を紹介していただきました。さっそく、その本を手にしてみました。とても面白く読みました。同じことでも目線を変えると見えるものがちがってくるということを実感しました。紹介してもらった本は半村良の小説「江戸群盗伝」です。何が面白いかというと、「火付盗賊改」の見方がこれまでの見方とまるきり違うからなのです。「火付盗賊改」といえば、何といっても池波正太郎の「鬼平犯科帳」です。主人公の長谷川平蔵は、極悪非道の盗賊に対しては情け容赦なく取り締まるが、一方では人情味溢れる人物として描かれています。これによって「火付盗賊改」のイメージができあがっているのではないでしょうか。池波正太郎のうまさもあって随分読んだ時期があります。ところが、半村良の「江戸群盗伝」は盗賊仲間の目線で「火付盗賊改」を描き出します。ここでは同じ「火付盗賊改」がまったく違ったイメージで書かれているのです。ああ、盗賊の目線からいえばこうなるのか、という面白さを味わうことができました。「消費者の目線でいえば・・」という言い方が、このところ目立つようになりました。これまでの産業育成、経済発展を軸に考えられてきたことが、消費者の立場から見直すと課題がたくさん見えてくるいうわけです。まったく事例も、次元も違うことでしたが、目線を変えればということを考えさせられた、ある日の読書体験でした。