提言「蛍光管の適正処理のために」
2010年1月8日
京都市長 門川 大作 様
京都市ごみ減量推進会議会長 高月 紘 様
提言「蛍光管の適正処理のために」
特定非営利活動法人
コンシューマーズ京都(京都消団連)
理事長 原 強
はじめに
蛍光管はごみとして出すとき「われる」「かさばる」「水銀がふくまれる」ということで、「家庭から出るやっかいなごみ」の代表格のものです。排出する消費者・市民にとっても、処理にあたる自治体にとっても、なかなかやっかいなものです。
この蛍光管の適正処理に向けては、この間、自治体、業界、市民の努力が各地で始まっていますが、他方で多くの課題や問題点もうかびあがっています。
このようななかで、私たちは蛍光管の適正処理のためのシステムづくりをめざして社会実験をともなう調査研究を行ってきました。また、2009年度は京都市ごみ減量推進会議市民公募型パートナーシップ型助成事業の一環として「蛍光管リサイクルシステム研究会」を開催し、論点整理と意見交換を行ってきました。
これらの活動を通じて浮かび上がった論点と課題をふまえ、以下の提言を行います。
1 家庭からの蛍光管の適正処理率の向上のために
家庭から出る蛍光管は、現在の廃棄物処理法のもとでは、家庭系一般廃棄物として処理されることになります。したがって、取り扱いの方法は各市町村ごとにきまります。消費者・市民にとって、身近な所に、わかりやすい回収拠点がない場合、蛍光管とはいえ他のごみといっしょに排出せざるをえない、結果的に適正処理がされていないという実情があります。また、蛍光管を分別回収しても埋立て処分で終わっている市町村が少なくありません。これらの市町村では、その地域の実情をふまえた蛍光管の回収・適正処理システムを具体化することが求められているのではないでしょうか。
京都市の場合、2006年10月から家電販売店や区役所などを拠点として蛍光管を回収する取り組みが始まっていますが、蛍光管の販売量が多い量販店やホームセンターは回収協力店として位置づけされていません。
また、回収拠点になっている家電販売店にとっては、回収した蛍光管を保管するだけでなく、京都市指定の場所まで搬入しなければならず、とても負担になっているとの声がだされています。さらに、家庭系の蛍光管の回収拠点に事業系の蛍光管が持ち込まれているとの報告も出されています。
結果として、まだまだ消費者・市民の中にこの取り組みが浸透しておらず、蛍光管がごみになったとき、どのように排出すればよいのかわからないので一般家庭ごみとして出しているという消費者・市民は少なくありません。
私たちは、このような実情をふまえ、以下、提言します。
①京都市の場合、家電販売店を回収拠点として引き続き活かしていくことを基本にしながら、量販店やホームセンターにも協力要請し、回収拠点を拡大することが必要です。さらに、北九州市や札幌市の例にならって、家電販売店の取組みをサポートする家電販売店巡回回収システムの整備を行うことが必要です。
②同時に、区役所などを拠点にした回収の取り組みを発展させ、より身近なところに各種の資源ごみとあわせて蛍光管を回収する資源回収拠点を整備する取り組みをすすめるべきです。
③事例は少ないものの、地域コミュニテイでの回収活動に積極的に取り組んでいる事例があります。これらの取り組みの輪が広がるように支援策を検討するべきです。
④これらを実施することにより京都市の負担コストが増大することになりますが、そのコストの規模からいって、当面、ごみ有料化財源の活用によって十分対応できるものと思います。
2 オフィスビルからの蛍光管回収システムづくり
オフィスビルなどから出る蛍光管については、その回収システムがなお未整備であり、結果として、分別されないまま事業系一般廃棄物として処理されている事例が少なくありません。このようにして回収されたものはほとんど再資源化されることはなく、焼却もしくは埋立て処理されているのが実情です。
これは、京都市域においても例外ではなく、蛍光管の適正処理率をたかめるために、次の取り組みが必要です。
①事業系廃棄物の分別の徹底をはかり、蛍光管は独自に適正処理ルートにのせていくことが必要です。この取り組みは、京都市の廃棄物減量計画のなかでも重要な課題となっている事業系一般廃棄物の減量を促進するうえでも重要な取り組みであるといえます。
②京都市関連施設、学校、病院などにおいて、率先して蛍光管の分別排出をすすめるべきです。
③オフィスビルからの蛍光管について、排出事業者の共同排出方式など、より合理的な回収システムづくりをいそぐ必要があります。京都市ごみ減量推進会議のなかでこの問題について検討するグループをつくり、集中的な検討をしていただいてはどうでしょうか。
3 環境負荷の小さい照明器具の開発・普及
蛍光管の適正処理が強調されるのは、蛍光管には微量ながら水銀が使用されており、それが日本の水銀使用量の相当な割合になっているからです。他方では、蛍光管の処理技術がすすみ、水銀回収を行うとともに、アルミやガラスの再資源化の可能性が高まっていることも確認すべきです。このようなことをふまえ、蛍光管の適正処理率をたかめる努力を積み上げることが必要です。
同時に、こんご、環境負荷の小さい照明器具の開発・普及をすすめることも重要な課題であるといえます。
(1)蛍光管
蛍光管については、次の点が課題といえます。こんごの業界の努力に期待したいと思います。
①水銀封入量の削減
②製品の耐久度の向上(使用年数の長期化)
③「省エネ」の視点からの改善
(2)LED照明の利用拡大
最近、新しい照明器具としてLED照明が注目されることにとどまらず、実用化の速度が速まっています。京都市としても、可能なところからLED照明に置き換えることを検討してはいかがでしょうか。
4 蛍光管の適正処理に関する拡大生産者責任の明確化
蛍光管の適正処理の取り組みを進めるうえで最大の問題になっていることは、その回収コストや処理費用をだれが負担するのかという問題です。
家庭からの蛍光管の回収・処理コストについては、現行制度では、家庭系一般廃棄物である限り、市町村の負担にならざるをえません。したがって、この課題に真正面から取り組む自治体ではそれだけコストを負担しなければならなくなります。
また、事業系の蛍光管については、事業系一般廃棄物から蛍光管を分別して適正処理ルートにのせるためには、排出事業者がコスト負担増を見込まねばなりません。現実には、この点が事業系の蛍光管の分別排出がすすまない原因になっています。
結局、排出段階になってから適正処理コストを問題にする限り、この議論は続くわけです。したがって、これまであいまいにされてきたメーカーの蛍光管の適正処理に関する拡大生産者責任を、この際、どうしても明確にすることが必要だといわねばなりません。
私たちは、この点をふまえ、次の提案をします。京都市としても、これらの点について国ならびに業界にむけてはたらきかけをしていただくことを検討してください。
(1)メーカーの蛍光管の適正処理に関する拡大生産者責任の原則の確立
メーカーの蛍光管の適正処理に関する拡大生産者責任を明確化することを原則としたコスト負担のルールとシステムづくりをすすめる必要があります。
その際、次の点を明確にするルールとシステムづくりをすることが必要です。
①メーカー段階で適正処理料金を製品価格に上乗せすることを制度化する
②この適正処理料金を原資にした適正処理システムの整備
(2)「蛍光管適正処理法(仮称)」の法制化
これらのことをルールとシステムとして実現するためには、「蛍光管適正処理法(仮称)」というべき特別立法が必要であり、その法制化にむけて準備を行うべきです。
5 「蛍光管リサイクル協会(仮称)」の設立
蛍光管の適正処理を推進するためには、事業者、行政、消費者・市民がいっしょになり、情報を交換し、共同の取り組みをすすめることが必要です。そのために、私たちは、今回の「蛍光管リサイクルシステム研究会」にあつまった関係者がコアになりながら、研究会活動の継続、さらには共同の取り組みをすすめるための組織として「蛍光管リサイクル協会(仮称)」の準備をはじめたいと思います。京都市ならびに京都市ごみ減量推進会議としてのご協力をお願いします。
連絡先 コンシューマーズ京都
TEL075-251-1001 FAX075-251-1003