「京都市食の安全条例」で京都市会各党議員団に意見書
3月4日、コンシューマーズ京都は、京都市会各党議員団に、以下の意見書を提出しました。
○○○党京都市会議員団 様
「京都市食品等の安全性及び安心な食生活の確保に関する条例」案についての意見書
特定非営利活動法人
コンシューマーズ京都(京都消団連)
理事長 原 強
平素は私どもの活動につきましてなにかとご理解をいただきありがとうございます。
さて、今回の京都市会には「京都市食品等の安全性及び安心な食生活の確保に関する条例」案(以下、条例案)が「議第37号」として提案されています。この件につきましては消費者のくらしと安全を守るために活動をしてきた私どもとして強く関心をもっておりまして、この間、みなさまにも意見を申し述べる機会をつくっていただいたとおりです。
この件が委員会で審議されるのを前に、あらためて意見を表明させていただきますので、よろしくご検討いただきたく思います。
1 条例骨子案と条例案でなぜこんなに変わったのか、ぜひ明らかにしてください。
この件につきましては、昨年12月、条例骨子案が示され、これについてパブリックコメント手続きがとられたうえ、条例案になった経過があることはご存じのとおりです。しかし、私どもがとても驚きましたことに、この過程で条例の名称が「京都市食の安全・安心に関する条例」から「京都市食品等の安全性及び安心な食生活の確保に関する条例」に変更されたのをはじめ、条例の構成や内容が大きく変更されています。とくに骨子案にあった「食品等の安全性の確保のための基本的な施策」や「健康への悪影響の未然防止」に関する重要な事項がいくつも脱落してしまったことは条例の目的の根幹に関わることだと思います。
よりよい条例にするために条例骨子案から条例案にするにあたり修正や変更が行われることは当然あってよいことですが、今回の変更についてはなぜ行われたのか、消費者団体としては理解できません。パブリックコメントでだされた意見についての京都市の考え方がホームページにも掲載されていますが、これを見ても理解することができません。条例骨子案から条例案になる際に、なぜこのような変更がされたのか、これで条例制定の当初の目的が達成できるのか、ぜひとも議会の審議を通じて明らかにしてください。
2 条例骨子案にあった次の事項については条例にぜひくみこんでください。
(1)食品安全安心推進計画に関わって
骨子案の段階では「食品安全推進計画」であったものが「食品安全安心推進計画」になったことは私どもも要望していたこととの関係で賛成できます。しかし、条例案では「市長は、食の安全安心推進計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない」とされていますが、骨子案では「食品安全推進計画に基づく施策の実施状況を取りまとめ、公表する」という項目があったわけで、「実施状況の公表」という内容を脱落させることは賛成できません。食品安全行政のPDCAサイクルを回すという点から、この点はぜひとも条例に明記していただきたいと思います。
(2)「監視・指導及び検査等」について
骨子案の段階で「食品等の安全性の確保のための監視、指導及び検査等」の項目がありました。すなわち、「本市は、食品等の製造から販売の各工程における食品等の安全性の確保を効果的に図るため、監視、指導及び検査を実施する」「事業者に対し、食品等の供給工程の各段階において必要な情報を記録し、保管するよう指導する」というものです。この項目は条例に明記していただく必要があると思います。
(3)「事業者による自主的な衛生管理の推進」について
骨子案では「本市は、事業者による自主的な衛生管理の取組を推進するため、必要な措置を講じる」「本市は、事業者に対し、食品表示に係る法令の趣旨にのっとり、適正な表示を行うよう監視、指導するとともに、市民に対して、食品の表示制度の普及啓発に努める」という事項がありました。この点は条例に明記していただくべきものです。
(4)「健康への悪影響の未然防止」のための「指導、勧告、公表」について
骨子案では「健康への悪影響の未然防止」のために「健康への悪影響が生じた時等の措置(指導、勧告、公表)」という項目がありました。この項目の説明文にありますように、既存の法令では直ちに措置を講じることが難しい場合であっても、京都市として何らかの措置をとることが必要な場合の根拠になる事項を条例で定めておくことが求められているわけで、このような大事な事項を脱落させたのでは条例の本来の目的を達成することができません。ぜひとも条例に明記していただきたい事項だと思います。
3 「自主回収に係る報告」制度に関わって
今回の条例案では「自主回収に係る報告」について第2章第3節がおこされました。事業者が被害の未然防止の観点から自主回収を行うことの必要性は私どもも理解しているところです。とくに問題の緊急性から既存の法令では基準がないなど直ちに措置できないときでも、まさに被害の未然防止のために、事業者の判断で自主回収したという情報をいかに速やかに消費者に伝達するのかという視点から、この制度は考えるべきものです。しかし、条例案にしたがえば、明らかに法令違反の場合の自主回収ということに問題がせばめられてしまうことになります。なぜ自主回収が問題になるのか、そのとき事業者と行政の連携はいかにあるべきかという視点から、この制度を十分に考えて、条文化していただくことを要望します。
4 消費者・市民の参画に関わって
これからの食品安全行政では行政、事業者、市民がそれぞれの役割を果たしながら協働し、よりよいものをつくりあげていくことがますます重要になってくるものと認識しています。したがって、条例案においても「本市の責務」「食品等事業者の責務」「市民及び観光旅行者等の役割」が規定されています。私どもの立場からは、「本市が実施する食の安全安心施策に意見を表明するとともに、これに協力すること」について異存はありませんが、より積極的に役割を担っていきたいと考えています。
すなわち、「食の安全安心推進計画」にもとづくPDCAサイクルへの関与ということはもちろん、さまざまな施策の提案、あるいは被害の未然防止のために消費者として行政に何らかの措置を請求する制度などが条例のもとで位置づけられるならば、その制度を活用していきたいと思っています。
とくに、このような点から、消費者団体の役割について十分にお考えいただきたいと要望いたします。
連絡先 TEL075-251-1001