TPP(環太平洋経済連携協定)問題について(3月16日付文書、再掲)
菅政権のもとでTPP問題が急浮上した。この問題は、これまでから日本の食料問題や食の安全に関わる活動をすすめてきた消費者団体として見過ごすことができないので、ここに基本的な立場を表明する。
1 食料自給率の向上に関わって
現在、わが国の食料自給率は40%水準で推移している。これは、世界の食料事情や先進国の食料自給の現状からみてまったく異常なことである。
世界の食料事情については、現在でも10億人に及ぶ人々が「構造的飢餓」に直面しているとされるうえに、気候変動や砂漠化の進行による農業生産の後退など、今後の見通しは極めてきびしいものがあるとされ、国際的な穀物価格は高騰している。このようななかで、先進国の多くは食料自給体制を維持・強化するための努力を行っている。
したがって、わが国においても、食料自給率向上のためにあらゆる努力を行うことこそがいま求められていることである。政府も、このような認識のもとに、この間、食料自給率を50%に引き上げるとの目標をかかげ、米の消費拡大、地産地消、食育推進などの取組みをすすめている。
しかし、TPP参加によって、日本の農業は重大な影響をうけ、食料自給率は14%程度にまで落ち込むとの見通しが出されている。これでは、政府がかかげる食料自給率向上目標が達成できないどころか、この間の努力をすべて帳消しにし、国民の食料確保についての見通しをも失うことになるといわねばならない。
2 食の安全について
TPPのもとでは、「非関税障壁」とされる各種の基準についても撤廃されるという。もしもそのようなことがすすむのであれば、かつて牛肉・オレンジの輸入自由化にあわせて日本の食品添加物の基準緩和が行われた事例が示すように、「基準の平準化」の名のもとに、BSE対策や残留農薬規制など、日本の食の安全対策が大きく後退することが懸念されるといわねばならない。
TPPは広範な領域にまたがる問題であり、その影響がどのようなものになるのか、なおはかり知れないが、これらの点だけみても、日本がTPP交渉に参加することにはとても賛成できない。
いま政府が行うべきことは、いったんTPP交渉への参加を中止し、TPPに関する情報を全面的に公開することもふくめて国民に対して十分に説明責任を果たすとともに、国民の意見に耳を傾けることである。
2011年3月16日
特定非営利活動法人
コンシューマーズ京都(京都消団連